何故ロシアは独立した他国に侵攻し都市をまるごと砲撃や爆撃で更地にしてロシア化しようとするのでしょうか?プーチン氏だけでない、ロシア人の多くはウクライナを独立国と認めていないふしがあります。歴史上ではキーウがロシア発祥の地であるということで日本で言えば奈良・京都のような存在と言われます。ソ連時代にはモスクワが首都であればキーウは古い都という感覚だったかも知れません。ロシアになって親露政権があった時は良かったでしょうが2004年のオレンジ革命と2014年のマイダン革命を経てウクライナに親欧州政権が出来た時、プーチン政権は強く拒絶反応を示したと言えます。
そこからクリミア半島が占領され勝手に併合されました。ドンバス地方では親ロシア派武装勢力がロシアの支援によって内戦を始めました。欧米流の民主主義革命に対して反革命のロシア軍とその傀儡政権、傀儡軍が内戦を始めたと言えます。ウクライナ側ではナチズムに影響を受けたアゾフ大隊がこれと闘ってきたという事実があります。アゾフ大隊側に残虐行為がなかったとは断言できません。
ウクライナの独立の歴史の中で独立を認めないソ連と闘うためにドイツに協力を求めたというウクライナ民族主義的英雄もいました。 「1917年の2月革命後,ウクライナでは中央ラーダ政府が誕生し,ロシアの臨時政府と自治拡大を巡って対立,10月革命を経て中央ラーダは「ウクライナ人民共和国」を宣言した。しかし,ロシア・ソビエト政府はこれを認めず赤軍を派遣,放逐されたラーダ政府はドイツと結び,以後3年間にわたる内戦に突入した。1919年第3回全ウクライナ・ソヴィエト大会でウクライナ社会主義共和国が成立,1922年12月,ソ連邦の構成共和国となった。」(ウクライナ大使館HPより)日本の歴史でもアメリカが日本の大陸における権益を認めなかったために三国同盟を結びアメリカに対抗しようとしたという過去があります。
NATOがロシアを追い詰めたという理屈はもっともですが、これはあくまでもロシア側の理屈です。たとえ中国化した日本で親米革命が起きても、たとえそれが台湾であって独立親米政権が台湾に出来ても中国が武力でそれをひっくり返すことは許されません。プーチン氏やロシア人がウクライナはナチだとどれほど主張しても、ロシア侵攻の悪及び残虐性>ウクライナ国防戦争の悪及び残虐性なのです。あなた方にそれを言われたくない、という結論になります。仮にプーチン氏はこの戦争を通じてグローバリストの闇の政府と闘っているとしてもその手段は到底許容できないものです。
いわゆる焦土作戦、それがヒロシマ・ナガサキに落とされた原爆であっても日本の主要都市を焼き払った焼夷弾による空襲であっても、ウクライナの市街地をがれきの山にするロシアの作戦であっても、ダメなものはダメなのです。
ロシア民族主義者はソ連時代の大国の夢を抱いているようです。それはソ連時代の全体主義、独裁主義の悪しき時代精神です。それはかえってロシアの弱体化、中国化を引き起こしてゆきます。いくらプーチン氏が勝利を宣言しても国内の反プーチン勢力がその地位を脅かすでしょう。プーチン氏の大ロシア主義はもはや現代には通用しない考え、少なくともウクライナ人には通用しない、受け入れがたい思想です。唯一それが可能だとすればロシアがウクライナの真に平和なパートナーとなり、クリミアやドンバスを返還して永世平和条約を結び、NATOと共同の安全保障提供者となること以外にないでしょう。しかしそれもロシアがナチ化してしまった今となっては時すでに遅しと思われます。