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バイデン政権はプーチンに戦術核を使わせるのか?その2

実際にプーチン氏は何をどう考えて戦術核を使用する可能性があるでしょうか?中国やインドがロシア制裁に加わらないのは欧米の2次的制裁をまだ受けていないからでしょうが、ロシアが戦術核を使用したら中印は2次制裁回避のためロシアを見捨てるでしょうか?インドはどうかわかりませんが中国がロシアを見放すと将来的にロシアは窮地に追い込まれます。プーチンと習近平の間に密約があり、双方がゆえあって戦術核を使用した場合、互いに制裁に加わらないのだと考えれば核を使う可能性が高まります。ロシアと中国のこのような密接な関係は成立しているのでしょうか?

又、欧米の核使用に対する対応を甘く見るとプーチン氏は核使用に踏み切る可能性があります。バイデン氏はこの点では思いっきり「ロシアにとって耐えがたい対応を取る」などの警告をしなければなりません。切り得るカードをちらりと見せておくことも有効です。ロシアはさんざんブラフや警告をしていますが、核の脅しは通用しないし使用すればその代償は非常に大きいことをしっかり伝えねばなりません。

最後に、プーチン氏を追い詰めすぎてはいけない訳です。どこまで行けばプーチン氏が怒り狂うのかそのレッドラインを見極め続けることが大切です。

今日、5月12日のプライムニュースでは小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター専任講師 がドンバスを失うような、クリミア半島を取られるような時プーチン氏が政権を失う可能性がありその瀬戸際で戦術核を使う可能性がある。NATO側もウクライナを勝たせ過ぎないように政治的に軍事援助を加減する必要があるだろうと語っていました。またNHK国際報道2022で、米国家情報長官ヘインズ氏の分析としてプーチン大統領は長期戦になればなるほどロシアに有利と判断していると報じています。これは中国もそうですが全体主義的、独裁的政権では国民に対する統制が効いていて民主主義諸国よりも国民が耐乏生活を受け入れるからです。長期戦の「寝技」に入る、これはロシアが核使用を忍耐する理由になるかも知れません。長期戦をするためにはこれ以上の経済制裁、国内情勢の悪化を防ぐ必要があり戦術核使用は望ましくないと言えます。

ウクライナ側は現在攻勢に出ていて、出来るだけロシア軍を押し込んで退却させてからあきらめたプーチン氏から有利な終戦の条件を引き出そうとしています。劣勢に立った時ロシア軍は化学兵器などを使用するかも知れないのでガスマスクの供給などに怠りがあってはならないでしょう。

ロシア軍が追い詰められ窮地に陥った時点で再度交渉を再開・進展させるべきでしょう。しかし、英ジョンソン首相や米バイデン大統領はプーチンに戦術核を使わせて追い詰めようという考えなのでしょうか?これはさまざまな意味で非常に危険な選択でもちろん多大な犠牲を生むことになるでしょう。戦術核使用のエスカレーションは将棋に例えれば、ひとつずつ、相手のもっとも大切にしている駒を取り合いに行くプロセスです。いつどんな条件で相手の戦争継続意思を詰み取ることが出来るか究極のチキンレースになります。相手の次の手、さらに次の手を常に読み切ることが出来るとは限らず、危険な賭けを避けることは出来ません。戦術核と言えども核は使うことのリスクが大きすぎます。