昨日、(3月13日)個人的に私の知っている方(日本人)がキーフにおられることがわかりました。びっくりです。幸いその方の身辺に危険はないと思われるのですが首都キーフへの攻撃、一般人の犠牲が最小限に止まることをあらためて祈ります。
また、ウラジオストックとの航路がある福井県にはロシア人が在住し、過去に娘の部活の先輩がロシア人でした。どこに住んでいてもロシア人に対する差別的言動があってはなりません。ウク露双方の軍人の犠牲も最小限にとどまることを祈ります。
その上で、ウクライナ軍は早期に降伏し亡命政権の下でゼレンスキー大統領は対ロ制裁を主とする経済戦争に闘いの場を集中すべきだというような意見について考えてみたいと思います。日本では主にテレビ等では弁護士の橋本徹氏(元大阪府知事、日本維新の会代表など)テレビ朝日の玉川徹氏などが発信されている意見です。何よりも一般市民の犠牲を止めるため、ゼレンスキー大統領の立場で言えばウクライナ国民の命を守るために軍事的作戦の停止、軍事的抵抗の断念をNATOなりEU、アメリカが仲介すべきだというような主張になるかと思います。
例えばチベットの亡命政権においては代表であるダライ・ラマは非暴力主義でありそのような抵抗しか出来ません。その結果チベットは中国に併合され抵抗者は拘束され国内で弾圧があり僧侶が焼身自殺をするなどの悲劇が続いてきました。もちろんウクライナは西欧にとって重要な国なのでロシアに対して厳しい経済制裁が続くでしょう。プーチンの健康状態も悪いかもしれないので何年政権の座にいられるかわからないでしょう。ただし、一旦はウクライナに親ロ政権が出来、抵抗するリーダーは容赦なく拘束、弾圧、殺害などされていくのではないでしょうか。独立運動の前途には厳しいものがあります。自由のない国、自由のない民族が一つ増えることになります。その間に民族の気概、誇りが保てるかどうか。徐々に「飼いならされていく」こともあり得ます。
最大限の軍事的抵抗を選ぶか大国の力の前に妥協の道をえらぶか、どの時点でどんな妥協の道をさぐるか、国家主権の問題に関して最後に自己責任を負うのはウクライナ国民でありゼレンスキー政権です。英米はゼレンスキー大統領にキーフを脱出し亡命政府をつくるような提案をして来ましたが全てこれまでの所拒絶されています。アメリカをはじめNATO諸国はウクライナに軍事支援を行ってきましたがこれを止めると言えば早期にウクライナ軍は崩壊しロシアが要衝を掌握することになるためゼレンスキー大統領は軍事的抵抗を止めざるを得ないかも知れません。
欧米がこの道を選べば世界秩序が大きく変わることを予想しなければなりません。その時期はわかりませんが中国は必ず台湾の直接支配を試みる可能性が極めて高くなります。ロシアに対してだけこの妥協をするというのには無理があります。米中戦争の引き金となるか中国の台湾支配への導線となるか、武力での国盗りを許す国際世界を来たらすことを考える必要があり、この議論をしないでウクライナの軍事的抵抗を放棄せよと提唱するのはいただけません。
逆に今、ロシアは経済制裁により敗北するだろうとメディアが報じるようになった背景にはウクライナ軍の頑強な抵抗があり各地で善戦しているという事実があると思います。軍事的抵抗と停戦の交渉、その妥結、その結果には有機的なつながりがあります。例えば過去の日本の場合、日米戦争末期の特攻による抵抗について無駄死にだったという評価がありますが空襲を遅らせたり、特定のB29を撃墜したり、敗戦の条件(皇室、国家主権の維持など)に影響を及ぼした可能性があります。
中国が核の使用をちらつかせ、脅迫して日本が欲しい(沖縄が欲しい)と言ったら米軍には撤退していただくということなのかどうか。米中、又は日中戦争になったら日本はどこまで戦うべきなのか、その抑止はどうすべきなのかを議論せずに当事者でない日本の私人がこういう提言をするのはいかがなものでしょうか。
私を含めて歴史的平和教会の考え方は「非暴力で逃げる」という立場です。ただしこれはキリスト者自身の自己責任において自分が行う行動基準で、他人に同じことをせよと単純に求めるものではありません。私が日本政府に対して一旦緩急あらば同じことをせよと求めることも出来ません。パックスアメリカーナ(強いアメリカのもたらす平和)を曲がりなりにも維持してきた戦後国際秩序の転換がかかったこの問題には世界秩序に対する責任を伴う発言が必要です。
以下は私とは政治的見解の異なるアメリカ人コメンテーター、モーリー・ロバートソン氏のツイートを紹介した記事ですが、中朝露の核の恫喝に関して鋭い認識を持っておられることがわかります。頭のいいはずの橋本氏などがこういう認識を持っておられないのかと思ってしまいます。
モーリー・R氏のツイート内容:「テレビ局の制作担当の皆さんに考えていただきたいこと」 「ウクライナの皆さんは生きるために必死でそれぞれに戦っておられます。『降伏』してしまい、核兵器の脅しが通用する新たな世界秩序を許してしまうと直ちに日本も中朝露による核の恫喝を受けるフェーズへと進みます」
モーリー氏、ウクライナ降伏すれば「日本も核の恫喝を受けるフェーズへ」投稿で物議
モーリー氏は、日本のテレビのワイドショーなどで行われている、在日ウクライナ人と日本人の芸能人コメンテーターが議論する企画に苦言を呈したユーザーの書き込みを引用リツイートする形で、「テレビ局の制作担当の皆さんに考えていただきたいこと」と呼びかけた。
続けて、「ウクライナの皆さんは生きるために必死でそれぞれに戦っておられます。『降伏』してしまい、核兵器の脅しが通用する新たな世界秩序を許してしまうと直ちに日本も中朝露による核の恫喝を受けるフェーズへと進みます」と書き込んだ。
日本のワイドショーなどでは、連日のように元大阪府知事、元大阪市長の橋下徹氏が「政治的妥結」を訴えているほか、14日にはタレントのテリー伊藤がラジオ番組で在日ウクライナ人女性に対し、「ウクライナ勝てませんよ」「無駄死にして欲しくない」と呼びかけ物議を醸している。これらの発言は現実的な要素がある一方、モーリー氏が主張するように、今ウクライナが降伏すれば、ロシアの核の脅威が強調される形となり、好ましくない「新たな世界秩序」が形成される可能性は十分あると言える。モーリー氏は近視眼的な視点にとどまるべきではないと考えているのだろう。
これには、ネット上で「これね。全世界的な問題だよ」「完全にコレ。理不尽な暴力、テロに一度でも屈したら、それをちらつかせられるので、降伏して逃げたことが意味なくなる世界くるよ」といった共感の声が多く集まった。
一方で、「『降伏しろ』とも、『戦え』とも外野が言うべきでない。決めるのはウクライナ」と中立的な立場からの意見も見られた。
記事内の引用についてモーリー・ロバートソン氏のツイッターより https://twitter.com/gjmorley/
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