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イスラエルに大都市を更地にする権利はあるか?テロ組織ハマスを無力化するためにどこまでの暴力が許されるのか?イスラエルを擁護する立場から考えてみる③

写真: ニューヨークかも?

 

 個人的には私は非暴力の歴史的平和教会の立場に立つので武器をとって戦うことをしない(良心的兵役拒否という)けれどもこの世界はそのような少数派の論理では動いていません。そもそもイスラエルは日本やアメリカと同じく世俗的な民主主義国家です。国家が戦争をするかどうか、どのように戦争を行うかは時の政権と政府が責任を持って決定し遂行します。現状、イスラエルではネタニヤフ首相の政権が実権を持って対ハマス戦争をやっています。これを止めるには何らかの手続きにより政権交代(普通に考えれば選挙により)が必要です。

 ではイスラエルは(民主主義的な世俗国家として)どうするのが正しいのか?つまり正義なのか?これを考えてみたいと思います。(私が非暴力主義のキリスト者としてどうすべきかという信念の問題とは別です。)イスラエルは国家として秩序を保ち国民を保護せねばなりません。ハマスのようなテロリスト集団、反イスラエル武装政治組織を許容することはハマスがその闘争原理、ジハード(聖戦)思想を変更しなければ不可能です。具体的にはイスラエル国家の存続を認めテロや武装闘争を放棄しパレスチナ国家の設立を目指すファタハのような政党になるしかありません。

 それは無理と言っていいほど困難なのでイスラエル(現ネタニヤフ政権)がハマスのせん滅を戦争の目標としてかかげても正義でないとは言えません。問題はその戦争の「やり方」です。イスラエルは国家として意図的、組織的にガザ地区住民の殺戮を行ってはいけないし、もしイスラエル国防軍の兵士の中にアラブ人、パレスチナ人、ハマス協力者、ハマスの教育を受ける子供などに対して憎しみにかられて殺戮を行う者がいたらきびしく罰しないといけません。(ただし年少者であっても銃や手りゅう弾、などの武器を持って抵抗する者があればイスラエル兵には正当防衛が適用されます。自爆テロなどを防ぐための殺傷も同様です。)

 巻き添え被害(コラテラル・ダメージ)についてはまた別で殺人、殺傷罪ではなく戦時国際法違反の問題があります。これはこれで多分戦後に調査され裁かれるべき問題です。全ての巻き添え被害が戦時国際法違反ではなく、敵を攻撃する軍事目的に対して不必要又は過剰な民間人の巻き添えは発生させてはならないという戦争のルールに違反するものはだめだということです。誤爆、誤射に対しては、意図せざるものであれば過失を問われることになると思います。私も不勉強なので戦争における過失の罪はどう裁かれるのか、国により組織によって違う訳ですが、よく知りません。戦争における「業務上過失致死」の問題です。